ギリシャ危機は日本経済にどのような影響を与えるか

ギリシャ情勢が緊迫している。デフォルト(国債の利払いや償還ができなくなること)の懸念がくすぶり、それが他の欧州諸国の財政不安に飛び火しつつある。まるでリーマンショックの再来だ。FX投資家は忘れることができないリーマンショック時の円高に備えるべきであろう。

円高に翻弄される日本、インフレに苦しむ中国

「こんな円高水準が続けば、生き残れない」

 

埼玉県で金属加工会社を営むある中小企業の経営者は、ため息をつく。欧州の財政不安と米国の景気失速を背景に、1ドル=77円円前後、1ドル=105円前後という急激な円高が進行し、輸出企業の業績を圧迫しているのだ。円高の影響を回避するため、生産拠点や本部機能を海外へ移す動きが加速している。半導体大手のエルピーダメモリは、広島工場の生産能力の約4割を台湾子会社に移管する。パナソニックでは、部品の調達・物流本部をシンガポールに移して海外での部品調達を増やし、円高の影響を抑えて競争力を高める。

 

しかし、多くの中小企業にとって、自力で円高に立ち向かうことは難しい。事態を重く見た政府では、中小企業に対して海外展開支援をするなどの円高対策をまとめている。もしもIげ−70円を割り込むような超円高に突入するようなことになれば、企業の海外移転はさらに加速し、空洞化による雇用減、賃金減も懸念される。景気の減速は避けられない。

 

一方、高成長を維持してきた新興国は、過熱するインフレへの対応に苦慮している。「スーパーに行っても、気軽に買い物ができなくなった。外食するときも、メニューの値段を気にしながら注文している」。中国・北京で広告会社に勤める陳健一さんは、物価上昇で生活か苦しくなったと打ち明ける。

 

北京郊外に住む年金生活者の張青さん(仮名、67歳)は、「食料品だけでなく医薬品も上がっている。貯蓄を切―崩して、やっと生活が保てる」と嘆く。

 

中国では、5月以降3ヵ月連続で消費者物価指数(Hインフレ率)が6%を上回っている。特に、豚肉や野菜など食料品の値上がりが顕著で、市民生活の圧迫要因になっている。インフレの抑制目標を4%としている政府は、段階的に金利を引き上げているものの、あまりに急激な金融引き締めは、経済成長に水を差しかねない。

 

加えて、主な輸出先である日米欧の景気が失速しつつあり、今後外需の落ち込みが経済成長を鈍化させる要因となる。ギリシャに端を発する欧州の財政危機。深刻な米国の雇用問題と財政赤字。日本を襲う超円高。中国のインフレ過熱。一見バラバラの事象だが、じつはすべてが連鎖して、世界経済は再び失速しつつある。0いったい世界経済に何か起きているのか。この危機を乗り切ることができるのか。