ギリシャ危機が米国経済に与える影響

ギリシャ情勢が緊迫している。デフォルト(国債の利払いや償還ができなくなること)の懸念がくすぶり、それが他の欧州諸国の財政不安に飛び火しつつある。まるでリーマンショックの再来だ。FX投資家は忘れることができないリーマンショック時の円高に備えるべきであろう。

失業者数1400万人、袋小路の米国経済

「国家的危機を脱するため、一刻も早くこの法案を通してほしい」

 

オバマ米大統領は、9月8日の米上下両院合同会議でこう訴えた。オバマ大統領が言う「国家的危機」とは、失業率が9%台に高止まりしている米国経済の深刻な現状を指している。カリフォルニア州サンノゼに住む建築家のデビッドーベイカーさん(仮名、59歳)は、2009年、8年間勤めた大手建設会社からリストラされ失業した。以来2年間、200通以上の履歴書を送っているが、面接までこぎ着けたのはたった4件だけ。それもすべて不採用に終わった。「まさか2年間も仕事に就けなくなるなんて思いもしなかった」。

 

現在は、教師をしている妻の収入に頼っている。妻の年収は3万6000ドルで健康保険がついていないため、自腹で家族の健康保険を支払わなければならない。娘は来年大学に入学する予定だが、学費が高騰しているのでどうしたらいいか悩んでいる。「この先どうなるのかと思うと、夜も不安で眠れない日が多い」。

 

リストラは民間企業だけでなく学校など公共部門にも及んでいる。ニューヨーク郊外に住むローラーパーカーさん(仮名、49歳)は、地元の教容委員会に勤めている。リストラが始まったのは昨年の秋からだった。就業時間が8時間から4時間にカットされ、時間給なので収入が半減した。パーカーさんは3人の子どもを持つシングルマザー。「家計を支えるのは自分しかいない。教育委員会の仕事に加えて、パートで働けるところを探している」。19歳の長女も仕事を探し始めている。

 

07年12月と比較すると、この4年で失業者の数は倍の1400万人にまでふくれ上がっている。まさに危機的状況だ。しかしオバマ大統領が提示した総額4470億ご(約34兆円)に上る雇用対策法案が、議会に承認される可能性は低い。最大の原因は、財政再建をめぐる民主党と共和党の対立だ。現在、米議会は、下院は共和党が、上院は民主党が過半数を握る「ねじれ」の状態にある。財政再建のためには政府の支出は最小限にとどめるべき、と主張する共和党が、この巨額の支出を認めるとは考えにくい。

 

もしも雇用対策が実施されなければ、景気のさらなる悪化は避けられず、米国債が格下げされる可能性は高い。だが、雇用対策が実施されたとしても、財政赤字が増加するため、結局は米国債の格下げにつながる。そうなれば、財政赤字を減らすために緊縮財政にならざるをえず、それがさらに景気を冷え込ませる。

 

雇用対策を抜きにして、まず財政再建に取り組んだとしても、現在のような景気の減速局面では、増税や社会保障の削減などによって消費がさらに低迷して景気が失速し、結局は国債の格下げにつながりかねない。国債が格下げされれば、高い利回りを保証しなければならず、財政をさらに圧迫する。

 

「国家的危機」に直面する米国は、まさに袋小路にはまっている。