ギリシャ危機に直面した米国金融政策

ギリシャ情勢が緊迫している。デフォルト(国債の利払いや償還ができなくなること)の懸念がくすぶり、それが他の欧州諸国の財政不安に飛び火しつつある。まるでリーマンショックの再来だ。FX投資家は忘れることができないリーマンショック時の円高に備えるべきであろう。

米金融緩和持続なら1600ドル目指す展開

今後の金価格(ドル建て)の動向を見通すっえでポイントとなるものは幾つかあるが、最大の材料は、米国の金融政策の方向性だ。現行の通貨価値を薄める政策は、そのまま金価格を押し上げる材料となるからだ。

 

金は昨年1年間で30%値上がりしたが、今年に入り1月単月だけで値幅にして約110ご、6%超の下げに見舞われた。年始の組み入れ資産の比率の見直し(リバランス)に伴い、売りが出されたことが下げの基本要因だった。つまり、年始特有の季節要因である。そこに米国景気回復期待の高まりのなか、量的緩和策の終息が近いと読んだヘッジファンドの売り攻勢が重なり、下げ幅が拡大した。

 

その米国の金融政策の方向性だが、米連邦準備制度理事会(FRB)は、昨年11月のQE2(量的金融緩和第2弾)で決定された国債買い付けを、このまま粛々と実行し、完了まで手を抜くことはないと見られる。米国景気を含む経済環境は回復の軌道に乗っているが力強さに欠ける、というのがFRB内の共通認識だろう。QE2決定時に掲げた「雇用の安定」も「低すぎるインフレ率」も、短期での目立った改善は望むべくもなく、政策対応はこの先も要求されることと思われる。

 

住宅市場の回復力も弱い。2月19日に発表された昨年12月のS&Pケースーシラー住宅価格指数は、全米20都市のうち11都市でピークとなった2005〜06年以降の最安値を更新した。個人消費は、米国景気の根幹だ。その個人資産の基礎となる住宅価格の低迷が続く状況は、消費拡大によって景気回復を探る体質から抜け出せていない米国景気にとってのネックといえる。足元の明るさは、政府とFRBによる刺激策の賜物だろう。

 

今回復基盤は脆弱とはいえ、ここで手を引くことへの危険性を熟知しているのが、大恐慌の研究者として知られるバーナンキFRB議長その人だろう。QE2のみならず、QE3もあると筆者は見ている。今後、政策策定の過程で、FRB内部での不協和音が増すことが予想されるが、それをどの程度抑えることができるのか。バーナンキ議長の正念場は、この4月に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)時にやってきそうだ。

 

こうした環境ぽ体が金市場にとっては、価格を持続的に上方に刺激する要素になりそうだ。FOMCで意見がまとまらなければFRBの信認にひびが入る。逆に、QE3の方向性が見えるならインフレを予見した買いが金市場で見られるだろう。